令和4年度第5回「聴覚障害のある社会人のための情報交換会」を開催しました

当事業の一環として、3月29日 土曜日にWeb会議システムZoomを使用したオンライン開催の形で今年度第5回目となる「聴覚障害のある社会人のための情報交換会」を開催しました。
当イベントは、聴覚障害者が働く上での工夫や悩みなどについて情報交換することを目的とし、開催しています。

今回は「職場における合理的配慮」をメインテーマとして取り上げ、意見や情報交換を行いました。当日は聴覚障害のある社会人8名の参加者と筑波技術大学の教職員、計13名が参加しました。

第一部では、本学の後藤由紀子助教から障害者雇用促進法の観点から、合理的配慮の提供のプロセスや、会社側との話し合いの際のポイントについて講話いただきました。講話でお話しいただいた要点は以下の通りです。

  • 障害のある労働者は、合理的配慮の提供を受ける権利がある
  • 配慮を申し出る際には、障害のある労働者・会社側の双方が職場で生じている支障を確認し、それを元にどのような措置を行うか話し合う
  • 話し合いの過程では、障害のある労働者・会社側の双方が納得できる内容かを確認して、配慮の内容を決定する
  • 雇用側との話し合いでは、障害への理解がまだ浸透していない相手にも分かりやすいように自分の要望を伝えることが重要である
  • 要望を伝える際には、一方的に伝えるだけでなく、自分ができることとのバランスを取りながら伝えていくといった交渉のテクニックも重要になる

第二部では、参加者間でメインテーマに沿ってグループトークが行われました。グループトークでは、職場で配慮を伝える上で日々困難を感じている場面とその解消方法について意見が交わされたり、合理的配慮をわがままと誤解されてしまう事例などを語り合ったりしました。

また、他の人同士の声による会話から得られる情報が拾えないといった、職場での情報量の格差を解決する方法として、職場内で起きた過去のトラブル事例の情報ファイルを全員で共有するなどのお話を紹介いただいたり、配慮をお願いしやすくするための工夫として、普段から職場の人とのコミュニケーションをとる努力をしているなどのお話が上がったりしました。

ご参加くださった方々からは「有意義な会だった」「同じ悩みを持った聴覚障害者と交流が持ててよかった」「自分のいる環境以外の情報に触れることができて、閉じこもっている気はなかったがとても開放的な気分である。自分の聞こえと生涯付き合っていくなかで、前向きになれる数々のヒントを得られた」といった声をいただきました。

当事業では今後もイベントを継続的に開催していきます。実施が決まりましたら当事業ホームページや筑波技術大学ホームページなどから、ご案内いたします。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

※画像は終了時に撮影した記念写真です。